“自分を物語のように話せば、それもそんなに悪いことではなくなる”
–「灯台守の話」ジャネット・ウィンターソン
私が今読んでいる小説は3冊。
1冊目はある女の人が世の中の男に飽き飽きして世を捨て修道院に入ることに決め、
2冊目はある男の人が全てを失い火星に行ってそこでも何度も何度も記憶を失い、
3冊目はある女の子が母親と家を失いみなしごとなる、所から始まる。
物語の始まりは終わり。
亡くしたり、無くなったり、手放したり、0から、いやマイナスから物語は始まる。
0もマイナスもない物語はない。
物語はいつも終わりから始まるのだ。
0から始まった物語はいつか100になり、
100から始まった物語はいずれ0やマイナスに向かう。
物語には0やマイナスは欠かせないのだ。
私は来月30才になる。
私の20代をかけてきたと言っても過言ではないことを一旦終わりにした。
今は、0か、マイナスになった気分だ。
でも、物語は終わりから始まる。
終わりは物語の始まりなんだ。
ある女の人は修道院に向かう列車の中で理想の「目」をした男性に出会い冒険の旅が始まり、
ある男の人は何度も何度も記憶を奪われても何度でも取り返そうと諦めず戦い続け、
ある女の子は灯台での灯台守見習いとしての生活が始まる。
きっと、私の今も、そんなに悪いことでもないのかな。
ある世界の終わりは、新しい世界への入り口、そう信じてみる。
“僕らはきっと試されてる どれくらいの強さで 明日を信じていけるのかを… 多分 そうだよ”
-「Worlds end」Mr.Children