何度読んでも読み進められない本がある。
トルーマン・カポーティ短編集「夜の樹」。
2015年から何度も外に持ち出しては読もうと試みているが、何度も挫折してしまう。
カポーティの文章はずっしりと心に重く景色を残す。
カポーティの描く世界は湿度が高くて不快な匂いがする。
いやあな音と匂いと湿度の高い不快な世界がじっとり心に沁みついて、
全部読めてはいないのに、
うっかりセーターについてしまって取れなくなったシミのようにいつまでも心の隅に沁みついて離れない。嫌だけど、嫌だから、そのシミの事が気になって仕方がない。
そういうわけで全然読み進められないカポーティ。
写真はちょうど1年前。
この時も結局、挫折した。
苦くて濃いビールで脳をぼんやりさせて入れてしまおうと思ったけど、失敗した。
カポーティは強い。
そして今日、
ちょうどカポーティについて考える機会があって、よし!と思い本棚に手を伸ばすと、
ない。
絶対にあるはずのカポーティが本棚にない。
いつのまにか姿を消していた、カポーティ。
それもまたカポーティの世界の女の人っぽいな、と思う。読めてないけど。