金継ぎと骨継ぎ

2017年11月、念願だった「金継ぎ」をすることが出来た。

西荻窪の「六次元」さんの金継ぎワークショップに参加した。

金継ぎをしたかった理由はもちろん、割れてしまったお気に入りの器を元の形戻すこと。

でも、ワークショップの中で六次元のナカムラクニオさんの金継ぎの説明に驚いた。

 

金継ぎは江戸時代の茶器のための技術で、欠けてしまった茶器を元に戻し金で継いだ後、

その割れたヒビの跡の形を川や海など自然のものに見立て愛でるためのものだったそうだ。

 

つまり「金継ぎ」は、ヒビを、キズを、飾って愛でるためのものなのだそうだ。

 

その約1ヶ月後、私は骨折した。

足の骨にヒビが入った。

 

病院に行ってすぐにレントゲンを撮った時、骨にはぼんやりと影のようなものしかなくて、

正直本当に折れてるの?と素人目には思った。

 

2週間ほど経って、撮影したレントゲンでやっとヒビが見え始めた。

 

そして、長く長く感じたギプスをしたままの生活から、お風呂に入る時だけギプスを外す許可が下りた3週間後、レントゲン写真にはくっきりとヒビが見えた。

 

ヒビの状態だけ見たら、3週間後が一番悪い状態に見える。

でも、くっきりと入ったヒビの中では、レントゲンに映らないけれど、ヒビの内側で骨の修復が始まっているのだという。

 

ダメージを受けた場所が完全に空っぽにならないと、修復は始まらないのだそうだ。

つまりその「完全なヒビ」は再生の合図でもあるのだ。

私たちはヒビとか、傷とか、あってはいけないように思ってしまう。

 

でも実際は、「完全なヒビ」の内側からしか、回復は始まらない。

 

一番ダメ、これ以上ダメにならないほどダメだ、と思う時が時々あるけど、

実は端から見たら一番ダメそうに見えるそういう時こそ、

目に見えないところで回復が始まっているのかもしれない。

 

ヒビがあって、傷があって、新しい価値が生まれる。生まれ変わることが出来る。

もしかしたら誰かがその傷やヒビを愛でてくれるかもしれない。

 

新しく生まれ変わったお茶碗を愛おしく思うように、

自分の「傷」も、誰かの「ヒビ」も、愛でていきたいと思った。