まだまだほぐせる

死者を弔うということ,サラ・マレー,草思社文庫

とても面白い。

日本語のタイトルから湿っぽい、泣きを誘うような内容かと思ってしまうかもしれないけど、

とてもカラッとサバサバと、それでいてすごく自らの感情に素直なまま、世界各国の葬儀を巡る文章がとても面白い。

 

自分の当たり前や常識なんて、少しだけ外の世界に出たらこんなにも違うものかと思う。

自分が仕方なく従っている「当たり前」はこの国の中だけで正しいと決められた行為で、海を渡って他の国に行けば全く違う習慣がある。

 

英題は"MAKING AN EXIT"、

無宗教の父親に育てられた著者はその父親の死をきっかけに自分がこの世をどのように出て行くか(送り出されるか)、を決める旅に出る。

 

そうか!そこ決める自由もあるのか、とハッとする。

 

まだ全然「こうでなくちゃ」と凝り固まった部分はたくさんあるのだ。

そんなこと!と思うようなことでも自分で作る/決めることが出来るんだ。

 

驚くような世界各国の葬儀の様子も面白いし、この著者の人間性もとても魅力的で、

タイトルや表紙からは想像も出来ないと思うけれど、「死に方探し冒険小説」とでも言うようなワクワク感がある。

自分探しの次の旅は、大人の終わり方探し旅。私もしてみたい気がする。

 

『死者を弔うということ-世界の各地に葬送のかたちを訪ねる-』サラ・マレー/思想社文庫

 

レベルブックスさんで買いました。

本当にもう本はすごいなー。

1989年からのメッセージ

ムーン・パレス,サードプレイス

読んでいる本が2冊とも1989年の本だった。

1989年のアメリカで生まれた本。

 

私が生まれたのが1988年の日本だから、ほとんど同じ時期にこの世界生まれる準備をしていた言葉の塊だ。

私は人間になり、『ムーン・パレス』と『サードプレイス』は本になった。

 

私はあまり喋らない(喋る人がいない)ので、私の主なコミュニケーション手段は文字だ。

だから私は本みたいなものだなと思う。

 

本は1人の人間のようで、でも人間と違う所はどんなに文字がびっしり書いてあってもその文字を読んだらもう終わりということだ。

この言葉との楽しい関係は終わってしまう、

だから私は最後の数ページを残して読むのをやめてしまうということが結構ある。

 

去年残り数ページを残して中断した『サードプレイス』とお別れしなくてはいけなくなった。

寂しくも最後のページを読む。

 

すると、すごいことが書いてあった!

 

ここまで読んで、長く一緒にいて、一緒に考えて、そして最後にこの一言!!

びっくりした。

これはじっくり向き合った人しか感動できない最後のメッセージだった。

 

この言葉を書いた人、レイ・オルデンバーグさんとはもうとっくに会えないけど、

30年前に書かれたメッセージ、確かに届きました、受け取りました。

「今しかない!」くらいの素晴らしいタイミングで受け取りました。ありがとうございます。

 

本を読み終わることはお別れじゃない。

そういえばどんな本もそうだった。もっと新しい世界に出会うことが出来るだけだった。

 

『サードプレイス』の巻末、何が書いてあったかはもちろん書きません。

気になる人は読みましょう(もちろん最初の1ページから!)

 

本はやっぱりすごいな!

「スーザン・ソンタグも言ってた!」

何かの事柄が正しいことを伝えるためのフレーズとして、

「(人名)も言ってる」というのがあって、

そこに入る人間によって正しさというよりも強度が測れるようなことがあって、

〇〇さんだと失笑が湧き、△△さんだと「おお!」と誰もが納得し、□□さんだと誰もが「じゃあ嘘じゃん!」となる、ような。

 

私が「おお!」と思うのは、私が「それは強い」と思うのは、

「スーザン・ソンタグも言ってる」。

 

スーザン・ソンタグの『ローリング・ストーン』インタヴュー

 

私は現在再起動中で、再起動中に本を読んでいて、心のエネルギーの原料になることは本を読むことしかない、と2日前に書いたのだけど、

レベルブックスさんで手に取り一緒に家に帰った一冊『スーザン・ソンタグの『ローリング・ストーン』インタヴュー』の中で、「スーザン・ソンタグも言ってた!」

 

"書物はわれわれの夢や想い出の気まぐれな寄せ集めに尽きるものではありません。自分を越えてゆくためのモデルも提供してくれるのです。読書は一種の逃避、「現実の」日常世界から想像の世界への、書物の世界への逃避としか考えない人もいます。書物はそんなものではありません。本当に人間らしくなるための手段なのです。"

 

-『スーザン・ソンタグの『ローリング・ストーン』インタヴュー』P21より引用

 

スーザン・ソンタグも言ってるから、本、読もう。

 

 

 

 

フォースと共にあらんことを!

公教育をイチから考えよう,苫野一徳,リヒテルズ直子,日本評論社

冷静に読むことが難しいジャンルがある。

 

苦しみの記憶や悔しさから、自分の中に黒い気持ちが湧き上がる。

その気持ちやその具体的な内容を書くことは、誰かを/何かを「攻撃」することだ。

 

攻撃することは簡単で、弱さや甘えから来るもの、誰でもうっかりそうしてしまうこと。

それは堕ちてしまうこと。

 

「フォースは知識と防御」

「知識と防御」

「知識と防御...」

 

マスター・オブ・ジェダイ、ヨーダの言葉を何度も繰り返し自分に言い聞かせる。

 

フォースを知識と防御に!

フォースと共にあらんことを!

 

 

追記:読んで、書きました。

▶【BLOG】2/4(日)「オランダ・イエナプラン体験学習会」のおすすめ

 

現実の中のSF

オレンジだけが果物じゃない,ジャネット・ウィンターソン,国書刊行会

図書館へ行く。

灯台守の話」で虜になっているジャネット・ウィンターソンの本を手に取る。

 

(「灯台守の話」を読み終わってしまうのが悲しすぎて、終わる前に次に手を出してみた)

 

選んで、開いて、読む。

オレンジだけが果物じゃない,ジャネット・ウィンターソン,国書刊行会

本当に大切なのは何かを創ることであって、評価は付け足しにすぎない。

創造物は、いったん創られてしまえば創造主の手を離れ、誰の手を借りずとも、全きものとして存在しつづける。

-「オレンジだけが果物じゃない」ジャネット・ウィンターソン

 

なんでこのタイミングで!!

数万冊もある図書館でどうしてこの本、この言葉を手に取るんだろう。

 

選んで、開かなければ出会わなかった言葉。

 

やっぱり本を読むことは、少し不思議。

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